「ありがとう」のある景色 Ver.葉月




「有難うございました。またのご来店、お待ちしております」
透き通る声。
たわいのない話。食器の重なる音。ドアチャイム。
喧騒の中に彼女の声があるだけで、幸福に包まれる。

まどろみながら、もう少し彼女の声を聞いていたい気持ちが半分。
目を開けて、彼女のくるくる変わる表情を見たい気持ちがもう半分。

そろそろバイトの時間だけれど、コーヒーの配達でまた彼女に会えるはずだ。
「・・・・・・ん」
軽く伸びをしようとして、やめた。

きっともうすぐ彼女が俺を起こしに来る。
だからそれまで、こちら側の幸福に身を委ねていよう。





期間中、フリー提供させて頂いていたミニミニ文(現在は終了しております)。
お持ち帰り下さった心優しい皆様、本当に有難うございました!